500EX_Courtesy of Sea Kayaker magazine

PE-500EX インプレッション
米国・シーカヤッカーマガジン2002年・2月号

デザインに関するメーカーからのコメント
500EXは日本のフジタカヌーで製造され、折りたたみ式でありながらハードシェルシーカヤックに近いパーフォーマンス性が出るようデザインされたモデルです。グラスファイバーのポールとマリン合板を組み合わせたフレームは、軽量で頑丈かつ組み立ても簡単です。直進性も高くハードシェルの様なリーンターンも出来、数日間のツーリングに十分な積載重量があります。またフォールディングカヤック特有の適度な柔軟性は、衝撃吸収の役目を果たすので荒れた状況下でも安心です。快適なシートとフットペダル、サイブレースにより艇のコントロールも自由自在です。また、両サイドのエアースポンソンを膨らます事により、艇にテンションを与えると共に、大きな安定感が得られます。カヤックにはデラックスなバックパックが含まれ、荷物としてテェックイン出来る大きさで、旅行に大変便利です。組み立ても簡単で30分以内で可能です。

インプレッション
シーカヤッカーマガジン誌専属3人のテストパドラーが、以下の状況で行いました。
GL:男、身長177cm、体重74kg、10‐12ノットの風でのデイパドリング、ロールテスト、スピードテスト、60#ギアーテスト、12ノット強風、60cm波高テスト、
MH:男、身長180cm、体重85kg、波高1.2m、40ノットの強風でのデイパドリング
TE:男、身長185cm、体重90kg、波高30cm以下、微風での穏やかなデイパドリング

このモデルは素材、構造共に最高の出来の様に思えた。(MH)

組み立て時ポールは全て問題なくつなげ、特に力を使う事は無かった。エアースポンソンを膨らました際、付属のスクイーズポンプが便利だった。(GL)

魅力的なプロフィールをしている。エアースポンソンが張り出していて少しボッテリ感があるが、コクピットに座っていると特に気にはならないし、パドリングの邪魔になる程では無かった。コクピットから見た印象は、とてもスリムなカヤックである。(TE)

一人で担いで運んだ際、コクピットをサポートしているポール(インナーストリンガー)が掴み所となり持ち上げやすかった。運んでいる間このポールが肩に当たるが、艇自体軽いのであまり気にはならなかったし、バランスも良く取れていた。両エンドにはグラブループが無いので2人で運ぶ際はカヤックを抱える必要がある。(TE)

デッキラインはシアー(舷弧)に縫い付けられたベルトループを通している。グラブラインはカヤックのデッキ周囲に取り付けられている。バンジーコードのデッキラインはチャートや、スペアーパドルを固定するのに便利であるが、径が細いので荒れた状況下できちんとホールドするか疑問である。(TE)

コクピットの開口部は適度な大きさで、出入りも楽に出来た。(GL)

3人の中で一番背の高いTEにとっても、コクピットの長さは十分で、先にコクピットに座ってから足を中に入れる事が出来た。しかしながらコクピットをサポートしている2本のポールの間隔が35cmで、TEには少しきつかった。パッキングし易いよう分割式にデザインされたコーミングは外れやすかった。(GL)

シートの座面はエルゴノミックカットされたフォームパッドにナイロンカバーが被さっていた。背もたれの部分もナイロンカバーが被さり、フォームパッドが入っているが、堅いプレートが一緒に入り補強している。背もたれは座面にヒンジ形式で付けられている。非常に快適なシートだった。(GL)

コクピットのフィット感はとても良く、座った状態で膝の角度も無理の無い状態で疲労やしびれも無かった。(TE)

コクピットをサポートしている2本のポールがサイブレースの役目をし、横方向のズレを抑えてくれた。(TE)

バックレストが小さなビルジポンプに接し、パドラーが前後に体を揺さぶる事でポンピングをするのだが、やりにくくあまり効率的では無かった。(GL)

コクピットをサポートしている2本のポールは、しっかりしたサイブレースの役目をするが、膝近くに当たるので常に膝を外側にブレースしていないと煩わしいかもしれない。全体的なフィット感はいいが、少しパッドを付けたい場所があった。(TE)

フットブレースはしっかりと固定され、シーソックの上からでも楽にペダルの調節をする事が出来た。(GL)

テストしたカヤックにはラダーは装備していなかったが、3人共ラダーの必要性は感じなかった。500EXの初期安定性、次期安定性の両方とも抜群である。静水は勿論、強風や横波、荒れたコンディションでもしっかりした安定感がある。カヤックの持つ柔軟性がクッションとなり、波を受ける際、波がハルを通り抜けていくのが感じられる。大きな波では、ハルが波の上を乗り進む感じで、ハードシェルなどで良くある様にハルがバウンスする事もない。(GL)

TEによると、エアースポンソンが水面下に沈み、喫水線が広がるので大きな傾きでも適度な次期安定性能があった。初期安定性と次期安定性の中間地点で、エッジでふんばろうと努力せずとも元に戻ろうとする適度な復元力を感じた。面白い安定性能のあるカヤックである。500EXは驚くほど俊敏で、機動性が高く舵の取り易いカヤックである。そして両サイドのエアースポンソンが傾きに対して大きなサポートとなっているとMHは感じた。TEはこのモデルの回転性能に満足した。カヤックがターンのきっかけをつかむと、スムースにターンしてくれる。
トラッキング性能(直進性)という点では意見が分かれた。適度な直進性があるが、バウが少し上下にふらつく気がした。またパドリングを止めるとカヤックがターンしてしまう傾向があった。(GL)

フジタのトラッキング性能はとても良い。少し針路をずれる事もあるが、ストローク事にきちんとバウが針路に戻り進んでくれた。(TE)

微風の下でテストしたGLは、「風に対するバランスも程よく出来ているが、少しウェザーコッキング(バウが風上に向く事)する。横風時ではリーニングと、パドリングで修正しながら進む必要があった。風下にターンするのは楽だった。」と述べている。強風の下でテストしたMHは次のように述べている。「ウェザーコッキングは全く問題では無かった。30ノットの強風下でもコースから外れる事も無く、トラッキング性能は最高である。」
荒れたコンディションでは、カヤックの柔軟性により叩きつけるのでなく、波の上をなめる様に進むのでしぶきも少なく、よりドライなパドリングが出来た。(GL)

GLによると、「500EXのスピード性能は中位である。MHは、苦労する事無く快適なクルージングが楽しめるスピードがある。」と評価。そしてスピード保持もとても楽で、驚いたともコメント。TEはスピードの計測にGPSを利用した。リラックスしたペースでパドリングして4.5ノットという、驚くほど軽快なスピードだった。少し早漕ぎで4.75ノットと、さほど変わらなかった。スプリント漕ぎでは5ノットを記録した。全体的にとても速いカヤックだと思う。それに楽にクルージングスピードを保てるので、楽に長距離もカバー出来るだろう。
波乗りでは、MHによると、「スピードに乗るのは遅いがコントロールはし易かった。船のねじれは感じるが、不安になる程では無かった。」GLは、小さな波でもブローチングする傾向が少し見られるとコメントしている。
フジタカヌーのロールはとても簡単だった。コクピットのタイトなフィットが良く、短い間ではあるが、仰向けの姿勢も楽だった。ロールの最中コクピットのサポートポールがニーブレースの役目をしているのを感じた。しなりが少し多かったのでニーブレースが若干甘かった気がする。(TE)

パドルやパドルフロート無しでも、1人でのリエントリーは難しく無かった。シーソックの働きもOKだったが、カヤックを起こしてみると2リッター位の水が入っていた。デッキのシームから浸水があるようだ。水を入れたままカヤックも持ち上げてみると、デッキとハルのシーム部から水が漏れていた。(GL)

デッキがアーチ状のデザインなのでカヤック内のボリュームは大きく、数日分のツーリングギアは勿論、コンパクトにまとめれば1週間程度のツーリングギアも積載可能だろう。(TE)

カヤックには隔壁が無いので荷物の積み込みはコクピットから行う。デッキには小さなアクセスハッチがあるので、ここから手を入れて荷物を動かすには便利。30キロの荷物を積んだ状態で、カヤックは安定性、トラッキング性、回転性共に良く、リーンしたスウィープストロークにも反応は良かった。(GL)

フォールディングカヤックには今迄興味が湧かなかったが、フジタの様に機能性・パフォーマンス性能の良いカヤックだったら可能性がある。このカヤックなら色々と楽しみが広がるだろう。(MH)

500EXは機動性の高い機敏なカヤックでスピード性能も十分である。旅行に持って行くカヤックが必要であればお勧めのモデルである。(TE)

スーパーライトで組み立ても簡単、積載量も十分な500EXは、飛行機で行くエキゾチックな場所でのロングツアーに最適です。(GL)