パーツ物語 アルピナシリーズ テンションベルト用ガイド

ファルトボートのフレームは個々の部品の集合体です。
今回の記事ではアルミフレーム艇・アルピナシリーズのスターン側
デッキ端部に装着している、テンションベルトのガイドをご紹介します。
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部品メーカーからの納入時はすべてのエッジが面取りされていない状態。
このままでは、怪我や船体布側の平ベルトの破断の原因となるため
手作業でエッジ(角)を落とします。
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まずは小型のエアーサンダーを使用して荒削りします。
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サンダーで荒削りした状態。
ここからは複数の紙やすりを使い、角がなめらかになるように仕上げます。
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仕上がった状態。
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最終的にはこのようにステムの一部となります。
現在の素材はジュラコン樹脂※(正式名称ポリアセタール)製ですが
初期のアルピナはアルミの削り出しでした。
お手持ちの艇の、この部品がアルミ製なら、シリアルナンバーは小さいはずです。
(船体内側右にあるシリアルナンバーは手書きかも知れません。)
※ジュラコン樹脂…寸法安定性、耐疲労性、耐油、耐薬品性に優れた
エンジニアリングプラスチックの一種。腐食がほとんど発生せず
自己潤滑性があるため、摩擦係数が小さく、耐磨耗性にも優れる。
フジタカヌー 上田洋樹

PE-1-400・480スペリオ ファルトボートのリブフレームが完成するまで 【最終回】

最後はリブフレームとデッキ・キールパイプを割りピンで接続します。
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リブフレーム中央の上下にあるピンをパイプに挿入して
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割りピンが180度開くようにハンマーでピンを外側に打ち込みます。
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デッキとキールを接続して製造の工程が完了。
組み立てはこの状態で他の部品と接続します。
次回はアルミフレーム艇のアルピナシリーズのリブフレームについてご紹介します。
上田洋樹

PE-1-400・480スペリオ ファルトボートのリブフレームが完成するまで その【3】

3度目の塗装から一晩乾燥させると、
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このように蛍光灯の光を反射するほどの仕上がりとなります。
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この時点で光の反射がぼんやりとしている場合は1000番の紙やすりで
軽く研磨して4度目の塗装を施します。
塗装が完了したら、次は金具を取り付けます。
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リベットを打ち込む専用のリベッター(リベットマシン)という機械で
マリン合板のリブフレームに金物や金具を取り付けます。
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リブフレーム中央上部は「フレーム回転金物」を取り付けます。
最終的にはこの金物から出ているステンレス製のピンにグラスファイバー製の
デッキパイプを割りピンで接続します。
※実際には焼印がない面でリベットを打ち込みます。
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ガンネルパイプと接続するためのガンネル金具も取り付けます。
ガンネル金具は開きの角度が80・90・100度と3種類あり、リブフレームによって打ち分けます。
写真は中央前側のリブフレームですので、90度のガンネル金具を使用しています。
ガンネル金具は金具側からリベットを打ち込みます。
片側からの打ち込みでは、
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このように裏面のリベットが合板の表面より飛び出た状態(左)ですので
合板と同じか、コンマ数ミリ合板の表面より沈むようにリベットを打ち込みます(右)。
リベッターは圧縮空気で作動しますが、スイッチの操作は足元にあるペダルで行います。
金具や金物がない面でペダルを必要以上に踏み続けると、リベットがどこまでも沈んでいくので
この写真のような時は慎重にペダルを踏み込んでいきます。
リベッターを使用する工程は熟練とまではいきませんが、かなりの慣れが必要です。
この工程で金具とは関係のないところでペダルを踏んでしまうと、その一瞬でB級の部品となり
新艇としては出荷できません。これまでの作業も水の泡となります。
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金物いろいろ
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リベットはアルミ製。
長さは14mmから2mm刻みで8種類あります。
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リベッターでの工程のあとはインナーストリンガー(着座した時に太もも上側にあるパイプ)を
受けるためのカップを取り付けます。
1箇所でカップ・ボルト・ナットは各1個、ステンレス製ワッシャーは2枚使用します。
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ナットは「セルフロックナット」というゆるみがでない特別な仕様。
ここからねじ山が3〜4周ほど出るまでナットを締めていきます。
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これでリブフレームがようやく完成。
最後にデッキ・キールパイプを接続します。
次回が最終回です。
上田洋樹

PE-1-400・480スペリオ ファルトボートのリブフレームが完成するまで その【2】

2度目のニス塗装が乾いたら、再び研磨作業です。
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2度目(塗装の回数は3回)の塗装を終えた状態。
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ほんの少し艶がでてきました。
焼印部は木材の表面よりわずかに低くなりますので、1度目の研磨の時に
周囲の焦げをしっかりと落とすことが大切です。
この状態から2度目の研磨の最後に使用した番数の紙やすりで磨き
さらに番数をあげて磨き上げていきます。
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3度目の研磨を終えると、塗装前に真鍮製のハトメを打ちます。
円筒形のハトメをハトメ打ちとハンマーを使用して
リブフレームに両端が均等にめくれるように打ち込みます
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点が3つあると人の顔に見えるといいますが、この部分も顔のようです。
やや驚いた表情です。
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3度目の研磨とハトメ打ちが終了した状態。
1、2度目と同じようにエアーガンで細かいおが屑を吹き飛ばしてから3度目の塗装を施します。
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3度目の塗装からは、より艶がでるように仕上げていきます。
塗装は回数ごとにニスのマリン合板への付着状態が異なります。
1度目(塗装1または2回)・・・木材への浸透。
2度目(2回)・・・浸透から飽和状態へ。ここで塗装膜の下地を作ります。
3度目(2回)・・・皮膜形成。ニスの透明感がある層を重ねて艶がでるように仕上げます。
3度目を終えてまだ蛍光灯の光を反射しないような仕上がりの場合は4度目の塗装を施します。
次回は塗装が仕上がった状態と塗装後の工程をご紹介します。
上田洋樹

PE-1-400・480スペリオ ファルトボートのリブフレームが完成するまで その【1】

ファルトボート(折りたたみ式カヌー・カヤック)のフレームは大きく分けて
前後方向の縦通フレーム(ステム、キール、ガンネル、チャイン、ストリンガー)と
リブフレームの2つから成り立っています。
リブフレームとはその名の通り人の体に例えると肋骨のようなもの。
最も少ないのはアルピナ1-310の3枚。
最も多いのはPE-1-430・480・500の7枚です。
ちなみにキールを人の体に例えると背骨となります。
キールは和訳すると竜骨。
前後先端のステム部を含めると、まさに竜のような形状となります。
現在、PE-1-400スペリオと480スペリオのリブフレームを製作していますので
今日からリブフレームが仕上がるまでの工程を皆さんにご紹介します。
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厚さ15mmのマリン合板(完全耐水合板)をコンピュータ制御のNC自動切削機で
切り出してからはすべて手作業で仕上げます。
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サンダーという研磨機で平面と側面(小口)を研磨してから焼印処理をします。それから
エッジ部の面取りをして、エアガンで細かいおが屑を吹き飛ばし、1回目のニス塗装。
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湿度や気温によって初期の塗装は2回する時があります。
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1度目の塗装が乾いてからは工作機械を使わずに手で仕上げていきます。
最初の紙やすりは120番。そこから番数を上げて(目を細かくして)研磨作業を繰り返します。
2度目の塗装前には木の表面が絹のような手触りになるまで磨きます。
この2度目の研磨が最も手間がかかる工程です。
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2度目の塗装。
ニスが乾いたら研磨せず、ここでもう一度塗装を施します。
リブフレームの今日の作業はここまで。
あとはしっかり乾燥させて、明日からまた研磨作業です。
上田洋樹